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運動系医療研究会(2003~2008年度)

 運動系医療研究会では、2003年から2017年まで中野・吉祥寺・福岡(折尾)にて様々なテーマで技術研究会(講習会)を開催してきました。

 2018年度からは、心機一転しましてジャパン メディカル・トレーナー協会に改称して活動しております。

 先生方のご参加を心よりお待ち申し上げております。

 

 詳細はコチラのサイトをご覧ください → https://medicaltrainer.jimdofree.com/

平成20年度・2008年度


「腰痛と坐骨神経痛の調整法」 講師:水谷浩二

2009.3.22 東京技術研究会(吉祥寺)

 腰痛は、肩こりと同様に非常に臨床頻度の高い症状の一つです。たいていの人は、長い人生の間に一度は腰痛を経験するといわれ、高齢になるほど腰痛を訴える人が増えています。人口の高齢化につれて、この傾向はますます強まるとされています。

 腰痛の原因は、不良姿勢・肉体労働、スポーツ、老化、内臓疾患、精神的ストレスなどさまざまな誘因があげられますが、西洋医学的には『脊柱およびその周辺組織に原因があるもの』と『内臓疾患由来のもの』とに大別されます。東洋医学では、腰は五臓全てと関係が深いと考えられていますが「腰は腎の府」といわれ、特に腎・膀胱と密接に関係しているとされます。

 運動系医療では、東西両医学における腰痛の捉え方だけではなく、その者の体形や姿勢、生活習慣など『からだ』に原因を探り、真の原因にアプローチすることが重要であります。このことは、腰痛だけでなくあらゆる障害で同じことが言えます。

 痛む部位(腰)に注目するだけでなく、「なぜ腰に負担がかかるのか?」「からだのどの部位からの影響なのか?」これを見極めてはじめて、その者に応じた調整が可能になるのです。


「内臓調整法・賦活法」 講師:水谷浩二

2009.1.12 東京技術研究会(吉祥寺)

 内臓調整法・賦活法を行なう上でも、身体の歪み(体形)がどのように臓器に負担を掛けているのかを見極めることが重要なことに変わりはありません。

 そして胸郭や骨盤の変位、腹部や背部の筋の状態などの観察により、臓器からの異常信号を見つけなければならないのです。

 

 一般的には、猫背や亀背などのように前かがみの姿勢になると、臓器が圧迫されて機能低下を起こす傾向にあります。そこで、各臓器の賦活法に加えて、鼠径部・腹部の調整(伸張)を行なうことが内臓調整法でのポイントになります。

 また、臓器の収縮・拡張をコントロールするのに効果的な椎骨の叩打法や症状や痛みに対して即効性が期待できる経絡・経穴を利用した調整などは、利用価値が高いテクニックです。


「消化器調整法 〜腸・肝・胆・膵〜」 講師:本多茂代先生

2008.11.9 九州技術研究会(福岡・折尾)

 「腸の調整法」では、腸の観察(くつろぎ傾斜や反応点)に始まり、便秘・下痢・痔・脱肛・盲腸炎などの疾患別調整法や賦活操法による機能促進のテクニックが紹介されました。

 また、痔と脱肛の疾患別矯正法ならびに腸賦活操法は、参加者をモデルにした実演が披露され、とても理解しやすい内容になりました。

 「肝・胆・膵の調整法」では、観察法(くつろぎ傾斜や反応点)、肝炎・肝硬変・胆石・胆嚢炎・膵炎・糖尿病などの疾患別矯正法や各臓器の賦活操法のテクニックが紹介されました。

 さらに、叩打法を利用した肝臓調整法(収縮法)、関連椎骨の調整(押圧)による膵臓調整法などの実演も大変参考になるものでした。


「経絡・経穴を利用した調整法」 講師:水谷浩二

2008.7.20 東京技術研究会(吉祥寺)

 経絡は、気血を順行させ、陰陽の調和をはかり、外邪から身体を防御する作用がある。

 経絡が外邪に侵された場合は、その病邪を伝送するとともに病状を反映する通路ともなる。さまざまな疾患や臓腑の異常は、関連する経絡上の経穴に圧痛や硬結などの反応点として出現するが、これは病状を示すだけではなく即刺激部位ともなる。

 また経絡・経穴には、臓腑(異常部位)に対して離れた部位からの刺激を伝導し、臓腑の虚実を調整する作用もある。つまり、身体の持つ「コリレーション特性」の一種ともいえ、さまざまな疾患や症状に対して即効性があることも特長である。

 このように経絡・経穴の刺激は、離れた部位に刺激を伝導したり、痛みや症状に対して即効性が期待できる。そのため12種体形矯正法のなかで用いることで、痛みのある部位に負担をかけずに、さまざまな症状に対する疾患別矯正法にもなるのである。


「頭蓋骨調整と頭痛」 講師:水谷浩二

2008.6.1 東京技術研究会(吉祥寺)

 頭蓋骨の調整は、頭蓋骨を整えることで運動器系・自律神経系・内臓など身体全体に影響を与えることを目的とする。

 12種体形矯正法における頭蓋骨の調整では、骨盤・胸郭・頭蓋骨のコリレーション特性を利用した調整を基本とする。これに加えて、心窩部(前頭骨)、仙骨(後頭骨)、肋骨(側頭骨)をあらかじめ調整しておくと頭蓋骨が変わりやすくなる。

 頭蓋骨の変位が顕著であったり頭痛などの症状がある場合は、経絡・経穴の利用、頭蓋骨の直接的な操作、三要素マニピュレーションなどを加えることで改善を図るようにする。


平成19年度・2007年度


「呼吸器疾患の調整法」 講師:水谷浩二

2008.3.2 東京技術研究会(吉祥寺)

 鼻腔からはじまり咽頭・喉頭・気管・気管支・肺および肺を収める胸郭から構成される呼吸器系は、呼吸(外呼吸)による外界との接触がある器官です。そのためウイルスによる感染や、さまざまなアレルゲンに対する反応症状が多くみられる。

 東洋医学における『肺』は、呼吸のほかに水分代謝・免疫機能・皮膚や汗腺の調節機能を司るとされる。

 運動系医療では、呼吸器疾患と胸郭の状態とに密接な関係があるとし、下肢や上肢の関節や経絡を利用した胸郭の調整が重要となる。胸郭を整える際には、骨盤・頭蓋との開閉の関係を考慮して刺激法を選択するとともに、肋骨の擦過刺激、椎骨や上肢の調整がポイントになる。

 また、呼吸器疾患の症状の改善には、経絡・経穴の刺激に即効性があり、肺経やその表裏関係にある大腸経を多く用いる。


「婦人科疾患の調整法」 講師:水谷浩二

2008.1.20 東京技術研究会(吉祥寺)

 婦人科疾患について西洋医学では、生殖器の器質的異常や月経周期・妊娠期間の生殖ホルモンの急激な変化(減少)を重要視している。

 一方の東洋医学では『腎が生殖を主なる』という言葉があり、腎は精を蔵し、人体の発育成長を主なっているとされている。そして月経は、腎気や衝脈、任脈の作用によるものとされ、これらの機能の異常と婦人科疾患とが密接な関係にあるとされる。

 運動系医療では、婦人科疾患の原因として、生殖器を収める骨盤の歪みによる子宮・卵巣などの生殖器の位置異常・骨盤底部筋の麻痺・腹圧の異常を重要視している。

 これらの異常をその者の体形矯正法に加えて、骨盤操法やリンパ操法、椎骨の作用や腎経などの経絡・経穴を利用した刺激によって改善を図る。


「消化器調整法・胃」 講師:本多茂代先生

2007.11.4 九州技術研究会(福岡・折尾)

 消化器形の者には、側屈運動での制限や椎骨の可動性欠如が観察されるとともに、四肢の可動域にも左右の違い(動きの制限や過剰な動き)がみられるのが特徴の一つです。

 消化器系に異常があると、仰臥位で重心のかかった側の足を逆の足に重ねてくつろぐ傾向にある。このような無意識にするくつろいだ姿勢・楽になる姿勢を“くつろぎ姿勢”という。例えば、肝臓など右側の臓器に異常があると右足を上にして重ね、胃など左側の臓器に異常があると左足を上にして重ねる傾向にある。

 消化器形では上記の他にも、仰臥位で膝をL2の角度に曲げたり、側臥位で両膝を少し曲げるなどのくつろぎ姿勢がある。


「肋骨操法・胸郭調整法」 講師:水谷浩二

2007.9.2 東京技術研究会(吉祥寺)

 下肢の関節や経絡・経穴を利用した調整法により胸郭を整え、肋骨に可動性をつけて呼吸の状態を良くする。その際、骨盤・胸郭・頭蓋の開閉の状態を考慮して刺激法を決定し、これらの関係の調整を図る。

 また季肋部を整えれば、肝臓や胃などの腹部臓器の機能低下や疾患などを二次的に改善させることも可能である。

 肋骨操法では、まず可動性をつけることを目的にするが、肋骨は非常に骨折しやすい部位なので圧の強さには充分な注意が必要である。

 そのため、弱い力で大きな効果を上げる為に、患者の呼吸や頚部・上肢の動きなどを利用して刺激を加えるようにする。


「骨盤操法(骨盤矯正法)」 講師:水谷浩二

2007.6.3 東京技術研究会(吉祥寺)

 骨盤矯正では、骨盤・胸郭・頭蓋の関係(開閉の状態)を考慮して刺激法を決定し、これらの関係の調整を図る。

 なお、伏臥位にて骨盤を整える際には、まず殿部(腰部)の低い側を上げるようにすることが基本となる。低い側に刺激を加えても変化が少ない場合に、逆側の操作を加えるようにする。

 また、骨盤の調整においては股関節などの可動性をつけておいてから、変位を整える(平衡性をとる)ような刺激を加えると復位しやすい。


平成18年度・2006年度


「12種体形矯正法・観察法」 講師:水谷浩二

2007.3.18 東京技術研究会(中野)

 観察法においては、体形判定と主訴(症状)との関係性を把握することが重要です。観察によって矯正法の効果の良し悪しが決まることになります。

単純に、出現している症状に対して効果のある経穴を刺激するような場合でも、症状を起こしている原因を取り除かなければ再発することが多く、局所ではなく全身の観察を入念に行なうことが重要です。

 また、観察法には、悪い部位(症状の原因)を見極めるだけではなく、どこを刺激部位にしてどのような刺激法を加えるかを決定し、“矯正法を組み立てる”という重要な目的もあります。


「12種体形矯正法」 講師:水谷浩二

2007.1.21 東京技術研究会(中野)

1.観察法

 観察法は以下に示すものが挙げられるが、体形判定と主訴との関係性を把握することが重要であり、矯正法の効果の良し悪しが決まることになる。

 1)12種体形分類による体形判定ならびに動作制限

 2)主訴に関係する部位(主訴の出現部位・コリレーション特性など)の観察

 3)その他

2.手技を加える順序

 手技を加える一般的な流れは、仰臥位(下肢・上肢の末端からの刺激)から開始し、次いで伏臥位、側臥位の順に調整を進めていく。これで、全身の大部分が調整されることになるので、仰臥位で矯正の効果を確認し、座位にて最終的な仕上げの調整を行う。

 また、手技を加える上で特に重要なことに調整姿形と角度設定が挙げられる。適切に設定することで刺激の効果が上がり、少ない手数で済むことになる。


「目の調整と12種体形矯正法」 講師:本多茂代先生

2006.11.5 九州技術研究会(福岡・折尾)

 目の調整法には、目に対する直接法(目の基本調整法)と視神経などの目を司る神経に対する調整法、さらには経絡・経穴を利用したり、目と相互関連特性を持つ部位を利用した調整法などがあります。

 これらの目の調整法を12種体形矯正法と組み合わせて用いることで、目の機能回復だけではなく、老眼・乱視・白内障・眼球痛・物もらい・飛蚊症などのさまざまな目の疾患にも対応が可能です。


「腰痛に対する調整法」 講師:水谷浩二

2006.6.4 東京技術研究会(吉祥寺)

 腰痛の原因は、不良姿勢・肉体労働やスポーツ・老化・肥満・精神的ストレスなどの誘因が挙げられるが、一般的には『脊柱およびその周辺組織に原因があるもの』と『内臓疾患などが原因で起こるもの』とに大別されます。

 腰痛の発生においては、時間の経過(急性・慢性)、動きと痛みの関連性(運動時痛・自発痛)、痛みの出現範囲(関連痛・放散痛)などの特徴を捉えることが必要です。特に急性の腰痛で、自発痛があり発熱や冷や汗を伴う場合は、腰椎の骨折・内臓疾患・感染症・腫瘍などが疑われるので注意すべきです。また、腰痛の発生とともに、体重の増減・排泄障害・排尿障害・月経の異常などがある場合にも内臓疾患などが疑われます。

 腰痛の観察・調整においては、原因や発生の特徴を捉えることに加えて、その者のからだの特徴(体形)やどの部位からの影響で骨盤や腰部に変位(痛み)が起きたかを見極めることが重要になります。


平成17年度・2005年度


「肘関節痛」 講師:生田佑三先生

2006.3.26 東京技術研究会(吉祥寺)

 肘関節痛は上腕を反復して使用する職業(大工など)、または肘を反復して使用するスポーツ、テニスやゴルフ、野球などによって起こるので「テニス肘」「ゴルフ肘」「野球肘」と呼ばれます。

 さらに肘関節痛は普段の生活に影響し、物を持ち上げたり、タオルを絞る、ドアノブを回すなどの日常の簡単な動作が痛みのために困難となり、時に疼痛は上腕と前腕に放散します。
 肘を含めた上肢の異常は、経脈や経筋を通じ必ず頚背部や肩甲骨周辺に波及しています。解剖学からみても上肢を支配する神経は、腕神経叢のC5〜8とTh1から出ているのです。
 そのため肘関節痛の処置法は、まず遠位穴の頚背部や肩甲骨周辺の経筋病巣(圧痛・硬結)の処置をしておき、その後前腕の経筋の処置、近位穴の処置(上腕骨内側上顆・外側上顆の疼痛部位)に移行すると効果的です。


「肩こりの原因と調整法」 講師:水谷浩二

2005.11.6 東京技術研究会(吉祥寺)

 肩凝りは現代病ともいわれ、腰痛や関節痛などとともに臨床頻度の高い症状の一つです。
 たいていの場合は、筋緊張→血管収縮・循環障害→老廃物の蓄積・痛み→交感神経の興奮→筋緊張という悪循環に陥り、慢性化している傾向にあります。
 肩凝りの原因は多様ですが、不良姿勢・運動不足・ストレスなどの生活習慣を誘因として起こるもの(病気が原因でないもの)と変形性頚椎症・高血圧・消化器疾患などの疾患や障害に伴って起こる二次性のもの(病気が原因のもの)とに大別され、それぞれ原因ごとの調整が必要になります。


「頭蓋骨調整法」 講師:本多茂代先生

2005.7.31 九州技術研究会(福岡・折尾) 講師:本多 茂代先生

 一口に頭蓋の調整といっても、その技術はさまざまです。
 頭蓋骨を直接的に操作する方法にはじまり、骨盤や胸郭の開閉(呼吸)から影響させるもの、脊髄神経の反射作用を利用したもの、腹部と頭部の相互関連特性を利用した振動圧、さらには上肢や下肢の関節や経穴の効能を利用して調整する方法など様々あります。
 つまり、受者の状態に応じて、全身のどこからでも頭蓋を調整することが可能なのです。
 生活環境の変化からなのか、精神的な悩みや不安を抱えている人が多く見受けられます。「女性の場合は骨盤から、男性の場合は頭蓋から整える」とよく聞きますが、男女いずれの場合でも調整後に頭蓋骨が整っていなければ、良い治療とは決して言えないのではないでしょうか。


「肩関節周囲炎 〜四十肩・五十肩〜」 講師:生田佑三先生

2005.6.5 東京技術研究会(吉祥寺)

 肩関節周囲炎いわゆる四十肩・五十肩は、明らかな原因のないこわばり・痛みを有する肩関節のことで、肩の強い運動制限と運動痛が特徴です。肩を動かすと痛む・腕が上がらない・初老の時期という3つの条件がそろうと四十肩・五十肩と称します。

 筋、腱板、靭帯、滑液包などの老人性退行変化を基盤として、これに小外傷が繰り返されるため、肩関節が老化し筋肉が炎症を起こすと考えられています。

 肩関節の動作時につっぱる・ひきつる・痙攣する・痛むなどの経筋病の症状があれば、疼痛部位と一致する経筋を特定し経筋療法により痛みを軽減し、制限された肩関節の動きをよくしQOLを高めることができます。


平成16年度・2004年度


「変形性膝関節症」 講師:生田佑三先生

2005.3.21 東京技術研究会(吉祥寺)

 変形性膝関節症は、筋肉の異常,関節の変形,膝関節周囲の筋肉や靭帯などを含めた経筋病と捉えることができます。

 軽少な例や急激に起こった場合は、経脈や経筋を利用することで即効性が期待できます。慢性化した場合は難治性ですが、経筋療法による亜動筋の調整を取り入れることで少し変わった治療効果が得られ、痛みを軽減し動きを良くしQOLを高めることができます。
 一般的な治療では、主動筋にばかり注目がいってあまり亜動筋の治療がなされていないのが現状です。経脈、経筋に沿った亜動筋を処理することで、奏効することがよくあります。


「顎関節症の調整法」 講師:生田佑三先生

2004.11.3 東京技術研究会(吉祥寺)

 顎関節症の主症状は顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節雑音、開口障害または顎運動異常です。
 食生活や環境の変化および咬合異常やストレス、不良姿勢、口腔癖(歯ぎしりなど)、心理特性などが原因にあげられます。
 その病態は、下顎頭の変形や関節包、靭帯、関節円板などの器質的な障害と、咀嚼筋などの筋緊張異常による機能的な障害とに大別され、後者が治療対象となります。


「下肢の関節反射法」 講師:本多茂代先生

2004.7.18 九州技術研究会(福岡・折尾)

 下肢の関節反射法では、関節の操作によって骨盤・胸郭・頭蓋骨などの開閉の状態を整えて、全身に反射(反応)を起こします。また骨格上だけではなく、胃や肝臓,心臓(血圧)などの臓器に対しても作用させることが可能です。
 このように離れた部位に反応を起こし調整するという方法は、少ない刺激でより効果的に全身を調整することが可能になり、運動系医療の数あるテクニックの中でも最も優れた技術の一つです。


「足関節内反捻挫の影響と調整法」 講師:水谷浩二

2005.6.13 東京技術研究会(中野)

 足関節の内反捻挫は、スポーツの現場ではもちろん、あらゆる生活の場面で最も頻度の多い障害の一つです。

 軽症であれば数日間で痛みや腫れが引きますが、これで治ったわけではありません。受傷後に適切な処置をしないため、捻挫を繰り返す不安定な足首になってしまったり、膝痛や腰痛など、全身へと悪影響を引き起こしたりと厄介な傷害なのです。

 このため運動系医療では、たかが捻挫ではなく万病のもとと捉え、足部(受傷部位周辺)にはじまり腓骨や仙腸関節、そして頭部までのさまざまな関連部位の観察を行い、その状態に最も適したテクニックを用いることが重要となります。


平成15年度・2003年度


「経筋療法による経筋リリース・下肢編」 講師:生田佑三先生

2003.11.30 東京技術研究会(吉祥寺)

 一言に下肢痛といっても前脛骨筋や腓腹筋の痙攣によるものから変性疾患としての腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などに起因するものなど多種多様です。
 これらの下肢痛の鑑別や病態の把握のためには、東洋医学的検査法よりも西洋医学的徒手診断テストによるほうが有効的です。さらに、その徒手テストの技術は鑑別としてだけではなく、そのまま症状の経過観察や調整法へと応用でき大変利用価値の高い技術です。
 坐骨神経痛と梨状筋症候群の症例における実技実習では上記の徒手診断テストによる確認に始まり、殿部や坐骨神経の経路に沿って出現する圧痛点の処置法、腸腰筋などの症状に関連する各経筋のストレッチ方法、そして経筋リリースなど多くのテクニックが紹介されました。


「リンパ操法」 講師:本多茂代先生

2003.8.10 九州技術研究会(福岡・折尾)

 リンパ操法は各刺激部位を擦過法や振動圧などの柔らかい刺激を用いて調整し、リンパ液の流れを促進し、組織の新陳代謝を活発にすることが目的であり、特に炎症性の疾患に効果がある操法です。
 また、本多先生の長年にわたる臨床経験の中より今回取り上げられた症例をみますと、脾臓肥大、上肢の痛み、更年期障害、急性胃炎や胃潰瘍、不整脈や動悸などの心疾患、腎盂炎、肝臓・胆のうの消化器系疾患など応用範囲の広い操法です。
 リンパ操法を十二種体形矯正法に取り入れることで、運動器系の障害だけではなく、消化器系や循環器系などのあらゆる疾患に対応することが可能で治療の幅が広がることは間違いありません。


「経筋療法による経筋リリース・上肢編」 講師:生田佑三先生

2003.7.21 東京技術研究会(吉祥寺)

 経筋リリースという治療法を初めて耳にする方も多いと思いますが、黄帝内経の「霊枢・経筋」篇に記述されている歴史の古い治療法です。また、単に古いだけではなく、現代医学的な考えである圧痛点治療「筋・筋膜トリガーポイント療法」の基になっているものです。

 経筋リリースは経筋上に出現した阿是穴(経穴)を刺激し経筋をリリースすることで、筋病態(硬結・短縮)の軽減・消失および関節可動域の改善など、筋および軟部組織の機能障害を治療するためのテクニックです。つまり身体に出現した反応点(阿是穴)を検出し、その反応点を治療していくという 運動系医療の基礎的な考えにも当てはまります。さらに、この経筋リリースは運動器系の症状を呈するものに即効性があるため、臨床上も利用価値の高いテクニックなのです。